ワールズエンド・サテライト

アニメ・漫画の感想・考察,アニソンレヴューのページです。京都の院生2人で編集・更新しています。

15年春期アニソンランキング5

 

多忙に多忙をきわめ、2014年秋・2015年冬アニメのアニソンランキングは発表できておりませんでしたが、久し振りにやってみましょう、勝手にアニソンランキング5(先期…は引越しやら色々ありアニメを観られていなかったので先々期のものは時間ができたら書きたいです)。

 

候補となったのは、僕が今期観ていた7アニメ(『アニメで分かる!心療内科』『高宮なすのです!』『旦那が何を言ってるかわからない件 2スレ目』『てーきゅう 4期』『長門有希ちゃんの消失』『ハロー!!きんいろモザイク』『響け!ユーフォニアム』)において、OPあるいはEDとなった10曲の内から選出。

 

こうやって見返すと今期もやはり上京したてで忙しかったから、全然観られてないな…来期は仕事も兼ねて再び結構観る予定ですが。。

 

 

5.新庄かなえ「ファッとして桃源郷」(『てーきゅう 4期』OP)

ファッとして桃源郷

ファッとして桃源郷

 

 

コロシアエー!

じゃなくて、『てーきゅう』は地味に5分アニメの中では毎回(かなり奇抜なものが多いけれど)曲のテンポが、その猛烈早口な本編に倣っているように、早くも耳に残る曲が多いですよね。

 

今回の「ファッとして桃源郷」は、"フルで聴けば"、今までのどの曲よりも良かったです。YMCKみたいなチップチューンっぽい8bitサウンドなシンセのイントロ、そして全体的なチャイナ風の曲調が、みきとP「いーあるふぁんくらぶ」に似てるという声もよく聞かれたけれど、実際、曲を手がけているのも、VOCALOIDプロデューサーのやしきんさんなので、その影響はどこかであるのかも知れませんね。

 

チープなシンセとリズムボックスっぽい打ち込みのビート、「いーあるふぁんくらぶ」はもちろん、THE BACK HORN「上海狂想曲」なんかを思い出させる"日本人が勝手に誤解したチャイナ"風の曲調に、三森すずこさんのボーカルと合いの手的コーラスで埋め尽くされたテイストは、手数の多い最近のアニソンのお手本といった感じ(しかし、音数自体は少ないので、ハイファイすぎて鬱陶しいといったことがないのも良いですね)。

 

個人的には、同じやしきんさんによる『てーきゅう』のOPであった「メニメニマニマニ」にも言えることですが、Aメロ〜Bメロからサビにかけて一気に全く雰囲気が変わる曲調自体は、とても好きです。ファッ!?癖になるんですが、それは大丈夫なんですかね…

 

 

4.北宇治カルテット「トゥッティ!」 (『響け!ユーフォニアム』ED)

トゥッティ!

トゥッティ!

 

 ちょっとクラシック寄りの吹奏楽部を描いた本編とは一変して、『中二病でも恋がしたい!』のOPや『のんのんびより』のEDを手がけてきたZAQさんが作ったのは、スカ&ファンク調の楽曲。

メロは、何よりも物凄いハイスピードで裏打ちで突っ走るドラムとそれを縫うファンキーなベース、それらに乗った華やかなホーンセクション、そして北宇治高校1年の4人がそれぞれ歌うハイテンションな感じのスカが印象的ですね。また、随所で響くトイピアノ調のシンセが隠し味的に良い味を出しています。2番のAメロなんかは、かなりファンクってますしね。これは、ZAQさんのアップテンポな曲の多くに言える特徴かもですが、いかにもプレベっぽい野太いベースが張りたての弦のようにビビッドに鳴っているのが痛快。

 

特に普段クールで大人な高坂さん演じる安斉知佳さんのカッコ良いハスキーボイスが、久美子・葉月・さふぁいあ(みどり)ちゃん達に「一緒に歌おうよ!」って言われて渋々参加したものの、やるからには全力で歌うわよ!って感じが想像できて面白いです。

 

そしてEDビジュアルも良かった。宇治の光景や久美子が広げた譜面に「青春の価値」と流れる演出や太陽に手を伸ばしているかのように(これは、OPビジュアルのキャラ紹介がそうだったように『けいおん!!』の唯のオマージュかも??)広げた先の空に「高揚感」って書いてある感じが開放感があって良いです。と言うか、最後にバンド4人が並んでいる立ち位置とかも含めてやっぱり『けいおん!』のセルフパロディですよね、あれ。笑

 

 

3.Rhodanthe*「My Best Friends」(『ハロー!!きんいろモザイク』ED)

 

3位は、遂に中塚武さん御本人から提供された『きんモザ』2期のEDを。

 

まず1期のEDの話からさせて下さい。1期EDだった「Your Song」は、元々、ネオ渋谷系アーティストの1人、中塚武さんのアルバム『Girls&Boys』に収録されていた、これまたネオ渋谷系のex-Cymbals土岐麻子さんをフィーチャーした曲のカバーだったのですが、最初に聴いた時は、それはそれは驚きました。

『日常』で最も好きなアーティストはPizzicato Fiveと公言してやまないヒャダインさんがOPを2曲手がけられ、『たまこまーけっと』のOPも同じくPizzicatoの「マジック・カーペット・ライド」をあからさまに文字った「ドラマチック・マーケット・ライド」という曲名でPizzicatoお得意のホーンセクションを大々的に取り入れた渋谷系楽曲でした。

 

そこで『きんモザ』1期で遂に、ポスト・ネオ渋谷系のアーティストだとか、パロディではなく、正真正銘のネオ渋谷系のアーティストのカバーと来たので、本気で、アニソン界隈で渋谷系再評価の波が来てるのでは!?なんて思ったものです。

そもそも渋谷系の代表格たるFlipper's Guitarが、ロンドンと親和性が非常に高い(2ndアルバム『Camera Talk』はロンドンレコーディング。代表曲の1つ、「恋はマシンガン」はロンドンの風景をこれでもかというほどオシャレに演出したPVで有名でした)こともあり、渋谷系はイギリスやフランス、イタリアなど西欧文化と共振していましたが、それが、ロンドンからの留学生と典型的日本少女たちとの日常や国際交流を描く『きんモザ』のEDとなったのは、必然性も感じられて、とても素晴らしかったです。また、アレンジも良かったし、アニソンとしても珍しい徹底したジャズ調の渋谷系丸出しの楽曲で当時アニソンランキングをやってたら確実に1位にしていたでしょう。

 

そんな前曲を踏まえて、改めて今回は、カバーでなく、中塚さんの書き下ろし!

さぞや、スタッフさんたちも嬉しかったでしょうと思います。曲の方も、前曲よりはバラード感が増しつつも、やはり賑やかなジャズ調の渋谷系アレンジ。ホーンセクションとジャジーなドラムとピアノ、ストリングスがセンチメンタルにも聴こえ、そこに、あの5人の歌声が乗るとやっぱり落ち着く…ヒーリング効果がある訳です。

 

歌詞の面では、「Your Voice」が結婚式に流してもおかしくない(個人的には原曲を先に聴いててその時から、この曲は結婚式で流したい!と思ってました)程の人生を引き受けたような真っ当なラブソングでしたが、今回はタイトル通り、まさに5人の強い友情を思わせる親友に向けた曲になっています。中塚さんは、割に直球な歌詞を書かれますが、それが何だか嘘くさくないんですよね。渋谷系のアーティストは代表格たるパーフリやPizzicatoが"嘘"が1つの大きな命題でしたが、中塚さんにはあまりそれは感じられない。かと言って、等身大の自分で書きました、みたいなものではなく、普遍的な大きなものになってる感じがします。それが説教くさくもない。

当然の如く1期同様にEDビジュアルも良かった。特にアリスの髪をムシャムシャ食べてるシノが微笑ましい。笑

 

 

2.北高文芸部女子会「フレ降レミライ」(『長門有希ちゃんの消失』OP)

フレ降レミライ

フレ降レミライ

 

 2位はタイトル・サウンド・歌詞・編曲全てにおいて、かの"ハルヒダンス"で一世を風靡した名曲「ハレ晴レユカイ」を堂々とセルフパロりまくった、『涼宮ハルヒ』シリーズのスピンオフからのこの曲を。

 

思えば、セルフパロディ元となった「ハレ晴レユカイ」が発表されたのは2006年ですよ。それからもうおよそ10年。当時、僕は高校生でしたが、全くアニメに興味はなく、(むしろハルヒダンスとか…アニメオタクって…怖い…と思ってました苦笑)観た(聴いた)のは、2010年か11年くらいでしたが、そんな後追い組の自分でも、あの懐かしい名曲が進化して帰ってきた!と感慨に耽りました。

 

その貫徹されたセルフパロ感は半端なく、飛び跳ねるようなシンセのメロディが主体の曲調、歌い出しから《なぞなぞみたいな恋してみるかい?》と《なぞなぞみたいに地球儀を解き明かしたら》をオマージュ、これをはじめとして使っている用語が近く世界観も近い詩、そしてハルヒ演じる平野綾さん、長門演じる茅原実里さん、みくる演じる後藤邑子さんが1人ずつ歌っていって(今回は3人に加え朝倉役の桑谷夏子さん、鶴屋さん役の松岡由貴さんも参加)サビで合唱するボーカリゼーションと、もうどこを取っても「ハレ晴レユカイ」を思わせます。

 

かと言って、前曲がなければ、この曲単体では面白くないかと言われれば全くそんなことがない。前曲のシンセはデジタル寄りですが、こちらはアナログモデリングのシンセのようなノイズが強調された昨今のハウスやテクノ、果てはインディーポップシーンをも思わせますし、歌詞は、観ているこっちがとろけそうな程のラブコメ感満載の『長門有希ちゃん〜』に合わせて、前作の"退屈な生活からの脱却"のテーマはそのままに、甘酸っぱいラブソングに昇華されています。それに、ボーカリゼーションも約10年経った今、平野さんはよりハルヒらしいカッコ良いものに、茅原さんはより透き通ったものに(これは『境界の彼方』のOPでも言えることでした)、後藤さんもよりみくるらしい音痴の演技が上手くなっています。特に後藤さんは2番目の《全部忘れて違うもう一度違う気持ちで》のところの低いウィスパーボイスがとてもセクシー。

 

語彙力なくなってきましたが、OPビジュアルも良かった。個人的には、本編のハルヒよりも消失世界のハルヒの方が好きなのですが、そのハルヒが河原に堂々と立っている姿やハルヒ長門が背中合わせになっているところにSD化した、みくるジェット機(仮名)が飛んでるキッチュな演出もさながら、《フレ振レよ〜》のところのヒップダンスも可愛かった(セクハラオヤジ的視点。笑)。ジャケ写もキュートですよね。

 

 

1.Rhodanthe*「夢色パレード」(『ハロー!!きんいろモザイク』OP)

 

1位は、上京しての仕事から疲れて帰ってきた時に、その疲れを一瞬で吹き飛ばしてくれた、『ハロー!!きんモザ』のOPデース!

 

前曲たる「Jumping!!」も、爽やかすぎるまで爽快感満点なシンセのメロディと1人1人のボーカルが可愛らしかったですが、今作ではそれがより強調されていて、ED同様にホーンセクションも大々的にフィーチャーされた曲調に、より細分化したボーカルパートもそれぞれのキャラの個性が発揮されていて、素晴らしいです。

特に《お気に入りのステップ、今日は特別ジャンプ》のところの無駄に強調されたシンセのダンダン!ってフレーズと、《私たちの毎日》のあとのリムショットが痛快で、サビのアッパーな盛り上がりへの演出として成り立っているところや、サビ後の《Yes! Let's Go! いっちゃおう!》の合唱も素敵でした。

 

そして特筆すべきは、各話で披露された、イントロ《絶対笑顔でまだまだいっぱい夢みよう》の部分の各キャラの専用バージョン。シノ、アリス、綾、陽子ももちろんですが、もうカレンちゃんバージョンは、仕事の疲れを瞬時にぶっ飛ばし、これこそ…と興奮しました。いやはや、最高デース!

 

例のごとくOPビジュアルも素晴らしかった。特に先のダンダン!のところのカレンちゃんの決めポーズは言うまでもなく、5人+烏丸先生、くっしー先生、陽子の妹弟のサークル、謎のほのかちゃんの玉乗りと見所がたくさんありました。そして、舞台となった実籾駅からモデルの実籾高校までの通学路のダッシュ。青春ですね!

 

もうこの1位は、個人的な感慨のみで選んでますが、まぁたまにはこう言うのもありということで。笑