ワールズエンド・サテライト

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『薄花少女』第1巻レビュー

 三浦靖冬の「薄花少女」を読みました。主人公は旧家(?)の出らしい、現在塾講師をして暮らしている青年。そこに、彼の実家で女中をしていた御年80の筈の「ハッカばあや」が、薬で若返ったと言い、小学生なかばくらいの少女の姿となってやってくる、というお話

薄花少女 1 (IKKI COMIX)

薄花少女 1 (IKKI COMIX)

 

  古風な立ち居振る舞い、炊事洗濯に精を出し、主人公(ぼっちゃま)に献身するその姿、或いはちょっと強情な部分のある性格、そういったところには、たしかに、女中として生を重ね、ぼっちゃまの面倒をずっと見てきたというその女性の、包容力、或いは母性、そういった雰囲気を感じ取れるのですが、しかし他方で、80というよわいのわりに言動がどこかおちゃめだったり、或いは無防備さ(?)からくる、まさに「少女らしい」エロスを垣間見せたり、また、ふとした瞬間のふるまいなどが子供っぽくなってきていたりして、そこには「老女」と「少女」の奇妙な混淆があるように感ぜられ、「ハッカばあや」には、どこか、その存在の不安定さを静かに漂わせているようなところがあります(他では少女としか見られてないのに、或るときバス停で、小さい子が自分の母親がおばあさんにベンチを譲ったのを見たあと「おねえちゃん どーじょ」と言いながらハッカばあやに譲ろうとしてたりとか、そういう描写もあったり)。その不安定さは、「少女になった」ということを中心にこれから展開するであろうハッカとぼっちゃまの心の機微に、おおきく関わってくるだろう、っていう、そういう予感もある。けどまぁ、続きがどうなるかは、あえて考えずに、これからの展開を楽しみにしたい感じ。
 ところでこのハッカ……ちゃん(?)、彼女は、ひっつめ気味にしてあって見えるそのうなじが、いいと思います、私。