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ワールズエンド・サテライト

アニメ・漫画の感想・考察,アニソンレヴューのページです。京都の院生2人で編集・更新しています。

14年冬期アニソンランキング5


今期もそろそろ終盤となったので、アニソンレヴューの文法を知らないまま、ランキング化してみます。
候補となった曲は、僕が今期観ていた11アニメ(『ゴールデンタイム』『凪のあすから』『プピポー!』『いなり、こんこん、恋いろは。』『お姉ちゃんがきた』『GO!GO!575』『桜Trick』『そにアニ』『中二病でも恋がしたい!戀』『pupa』『未確認で進行形』)において、OPとEDとなったもので挿入歌などは除きます。
では、ベスト5をどうぞ。



5.ZAQ「深淵に舞う戦慄謝肉祭」(「中二病でも恋がしたい!

戀 Lite」ED)

本編ではなく、オンライン限定配信のショートストーリーから。ZAQさんは、本編のOP、ED共に関わってられるんですけども、僕としてはそれらよりもこちらのネタ曲っぽいこちらの方がツボでした。

ZAQさんと言えば、ヒャダインリスペクトを前面に押し出したニコニコ動画の歌い手(??)カルチャー出身と思いますが、なかなかどうして個性的な曲が多いようで、パッと聴き、「気持ちいいポップス」の文法の則っていない作風で知られていると思いますが、『中二病〜』に限って言えば、前作「漆黒に躍る孤獨覇王節」の盆踊りと言い、こういったある種の縛りプレイっぽい曲風でその才能が出るな、と思います。
全編ずっとサンバのリズムとアレンジなんですけども、サビでけたたましいまでに暴れるホイッスルの音色が高揚感を煽って素敵。本編OP・EDと比べ、普段DTMを本格的にやっているソングライターが、仕事の息抜き程度にお遊び程度に作ったような軽さがあり、それをネタを織り交ぜつつ、ポップスに落とし込んでて、お見事リズムセクションに対してメロディアスに鳴るシンセのメロディも流麗で「耳に馴染むバカ曲」というのは、かなりのポテンシャルが必要だなと思わされたり。歌詞面も中二病全開で面白い。
ニコニコ動画で観ると、踊る六花に「ダンシングデブ」というツッコミが飛んだりして面白かった。デフォルメの結果、妙にぽっちゃりしてるしね…笑

 


4.SAKURA*TRICK「Won(*3*)Chu KissMe!」(『桜Trick』OP)

アニメ「桜Trick」OPテーマ『Won(*3*)Chu KissMe!』/EDテーマ『Kiss(and)Love』

アニメ「桜Trick」OPテーマ『Won(*3*)Chu KissMe!』/EDテーマ『Kiss(and)Love』

 

 桜Trickは、OPもEDも良かったのですが、やはりアップテンポのサビ〜メロのキッチュに弾けるシンセのメロディとどこか一昔前(90’s中盤〜後半あたり??)の第二次テクノブームを通過した後のJ-POPの高揚感を思い起こさせる全体の音作りが素晴らしいこちらを選曲。そして、これはEDも言えることですけれど、意外と重たいリズムセクション(特にちょっとフィルタ処理されたっぽいバスドラとスネア)がフレンチハウスっぽさもあって、面白い。

全編通して聴くと、間奏部分にキス音がコラージュのように連続で配されていたり、2番以降は歌詞面もより露骨になっていたりとTVサイズに比べると気恥ずかしい曲になっているけれど、約4分半をどこか含みのあるアップビートで彩る様は気概が感じられます。
ビジュアル面では、謎のダンスを始める女の子カップルたちの中で1人テンポが遅くズレちゃってるしずくちゃんがキュート。

 

 

3.みかくにんぐッ!「とまどい→レシピ」(『未確認で進行形OP)

「とまどい→レシピ」(TVアニメ「未確認で進行形」オープニング・テーマ)

「とまどい→レシピ」(TVアニメ「未確認で進行形」オープニング・テーマ)

 

 『みでし』もOP・ED共に良かったですが、「ロック・テイストを聴かせるアニソンのお手本」と言い切っても問題ないとさえ思える英米産パワーポップ(特に90’sオルタナ以降のFontains of WayneやMotion City Soundtrackが台頭する米国パワポ勢)とアニソン文化を折衷して、どこまでもカジュアルロックに突き抜けるこちらを選曲。

手がけたのはVOCALOIDのコンポーザー氏のようですが、まさしくボカロカルチャーによって、DTMの裾野が広がり、本来であればバンドで完結するプロダクションも積極的に1人のDTM境(旧来であれば「宅録」とされていた環境下)で演られるようになって以降の、限りなくバンドサウンドに根ざしつつ軽さを志向する新しいデジタル・サウンドの系譜にありながら、それをうまくアニソンの枠内に落とし込めた素晴らしい作風。特にフィルタリングされて後景化したリズムセクションからイントロの出だし”FOO FOO〜♪”のスキャットにかけて一気に爆発するポップセンスは、めちゃくちゃ高揚感があって、特にそれを感じます。
メロ部分でベースとして配置された重く響くモーグライクなシンセベースもこだわりを感じる。全体的なプロダクションは00年代の米国パワーポップを吸収し、通過した上で鳴る邦楽パワポの文法に則った曲構成で、耳心地の良いスキャットも合わせて、このポップソングを光る一品に仕上げるために裏で一役買っています。小紅役の照井さん、真白役の吉田さん、紅緒役の松井さんのキャラボイス準拠のボーカリゼーションも聴き所(特に吉田さんの真白っぽく舌ったらずに歌い上げる様は素敵)。
ニコニコ動画で観ていると、サビの”君は真面目なトーンで好きってなんて言うでしょ”が”君はマジで納豆うめー好きーって〜”と空耳されていて、真白役のコメントが「言わないですよ!そんなこと!」ってツッコんでいて面白かった。紅緒さんが出て来て「ああああああああ…」と吹き出しでうずいているビジュアルに対して「あああああああああああ」弾幕が行き交う様はご愛嬌。

 



2.堀江由衣「半永久的に愛してよ♡」(『ゴールデンタイム』ED)

The World's End(初回限定盤)(DVD付)

The World's End(初回限定盤)(DVD付)

 

2クールめの『ゴールデンタイム』はOP・ED共に明らかに頭一つ突き抜けていました。EDのこの曲はOPでも聴かれるストリングスと共に、マルメ発の90’sスウェディッシュ・パワーポップ(特にThe Merry MakersやThe Trampolinesなど”軽い”北欧パワポ勢)の軽妙なエッセンスが存分に盛り込まれていてめちゃ素晴らしい。

軽やかに跳ねるドラムと祝祭感を掻き回すおどけたベースライン、随所で響くディストーションを噛ませた歪んだギター、極上のパワーポップエッセンスを増幅させるメロのハンドクラップ、そして小悪魔的な堀江さんのボーカリゼーションによって、まるで自分も、煮え切らない態度がゆえに香子さんに詰め寄られた万里くんになってしまったような錯覚さえ感じられます。
この晴れやかさをもった祝祭的パワーポップに加え、どこかで個人的な終末観さえ思わせる歌詞は強迫的で面白い。タイトルからして「半永久的に」なんて出て来てるし、ここまで晴れたアニソンでは珍しく”死”という言葉が形而上のものでなく切迫したものとして歌われるのは面白いです。どこか思い詰めた香子さんのように思えるメンタルを感じもするのに、この曲を手がけた清さんによると、そもそも『ゴールデンタイム』用に書き下ろした曲ではないということで、さらに驚きです。全編を通して軽やかながらも右往左往するシンセのアクセントに、香子さんの心情が表れているとさえ思えるのに。
ビジュアル面では、寝そべった香子さんが”I don’t need forever love, i can’t believe forever love”と言葉を吐いていく様がアンビバレントな感情を搔き立てる上に、とまどった万里くんが歌ってるっぽいアレンジの後に香子さんに胸ぐら掴まれるのも素敵。
全体的に冗長すぎるのと、こっ恥ずかしい語り部分が何度もある(とは言え、これはライヴでは映えるだろうし、アウトロ手前で”なーんてね”というおどけたのはむしろ素晴らしい)と、TVサイズとフルサイズがかなり違うのと、”超現実的に愛してよ”というリリックだけ全体的に浮いて見えるなどの点で1位は逃したものの、それらを調整すれば1位でした。

 

 

1.堀江由衣「The♡World’s♡End」(『ゴールデンタイム』OP)

The World's End(初回限定盤)(DVD付)

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1位は本当に素晴らしかったOPの方を。

まずニコニコ動画で観ていると、「ほっちゃんの声が聴こえない(くらいバッキングがやかましい)」、「うるさいOP」などと揶揄されているけれど、むしろそれがゆえにアニソンのお決まりに則っていないどころかアニソンの新たな可能性を追究した非常に挑戦的な至高の快作である、と思っています。この全ての楽器隊が恋という一瞬の(それがゆえに永遠とさえ錯覚してしまうほどの)祝祭の歓喜のために一丸となって歌声に負けないように響き渡る様は、まさしく、デンマーク産のシューゲイザ−、MewやLate Parade、Kyteといったアーティストを思わせる(Kyteのみスコットランド)し、日本のポップスにおいてはまだまだマイナーである北欧ポストロック勢を思わせるプロダクションをアニソンの枠内で実現しきっている光景に脱帽せざるをえません。
もう最初に聴いた時から思わず「Late Paradeやん!」と感じて、その後、数回エピソードと共に聴いて、ニコニコ動画において、回が重なるごとに「うるさい」「なぜ飛ばしたし」というコメントが重なるなか、「あまりこここで言うことではないけれども、この曲、Late ParadeやKyteみたいな北欧シューゲイザーっぽくて良いよね」とコメントしてしまい、ニコってもらえたのは嬉しい体験でした。
挙げたアーティストだけでなく、他に、例えば『Takk…』をリリースした頃の陽性のSigur Rosアイスランド)をも思わせる可憐なグロッケンの音色に聞き惚れる完成された音構成に息を飲まずにいられない。
たしかに、この曲は、"アニソンにしては"「ボーカルとバックの音のバランスが合っていない」し、「どこがサビか分からない曲構成」になっているのだけれど、それらが負荷になるのではなく、むしろリスナーにもアニソンの新しい地平を見せることに挑戦しているのではないかと思えます。その上で、堀江さんの声が聞こえ辛い”からこそ良い”のです。
作詞・作曲・編曲を手がけたのは清竜人さんですが、正直に言って僕は、その鳴り物入りらしい経歴から清さんの曲は聴いたことがなく完全に見落としてしまっていたと思います。EDも含めて、清さんのポテンシャルにかなり驚きました。
この洋楽ライク(それも大文字の邦楽ポップスとしてはなかなかマイナーの位置を甘んじていた北欧シューゲイズ界をフィーチャーした)清さんのプロダクションは、ガラパゴス化していく国内のアニソンに対するニクい宣戦布告であるのではないかと思えます。
新年からめちゃくちゃな怪曲が表れたな、と思わずにいられません