ワールズエンド・サテライト

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『Wake Up, Girls!』中途レビュー・『Wake Up, Girls! 七人のアイドル』レビュー

 劇場版「Wake Up, Girls! 七人のアイドル」を見ました。TV版の前日譚……てことで、内容的には、事業の始まり、みんなのなれそめ、というか、TV版の1、2話あたりでやる話、という感じで(まゆしぃに過去なにがあったか、とか、そういう内容のなんだと思ってたけど、違うかった)、こっちの劇場版から見たほうが、みんなのキャラは摑みやすかったろうな、てなことを思いました。あとはあれだ、未夕ちゃんにストマックホールドされてもーた。

劇場版「Wake Up, Girls!  七人のアイドル」 初回限定版[Blu-ray+CD]

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  そういやTV版の1話が放映されたときに、踊っててパンツ見えてる、とかいって、話題になってたけど、劇場版見て、「しまった、見せパン買ってこなきゃ」、「いいよ、減るもんじゃないし」、みたいな、そういう会話をちゃんとしてたことを知る。TV版見たときに思ったのは、そういや(少なくとも最近 やってる)アイドルもののアニメでパンツなんて見たことないような気がする、ってのがまずひとつで、で、その「パンツ」と「アイドル」、これらは、性慾と いうものに強く結びついたりしてそれ自体フェティッシュの対象にもなってるパンツと、人を励まし勇気を与える(なんてふうによく言われる?)希望のごとき 存在としてのアイドル、ってなふうに、それぞれ性慾と希望との極点、調停せられることのない相反するもの同士、みたいな類型化が、少なくともアニメだと起こってんのかな、と、そんなん思ったりしたのでした。


 けどまぁ、他のアイドルもののキャラでもさんざエロ同人とかは出てるわけで、アイドルがすなわち希望以外のなにものでもない、っていう、そういう等号で結ばれた関係が常に(どこに於いても)成立してるわけではないんだろう、ってことを思うと、 WUGのアニメ本編、すなわち公式にアイドルがパンツを見せたってところ、それがやっぱり話題の争点なんだな、と、思ったりもします(まんまじゃん)。他のアイドルものだと、アニメそれ自体に於いてはキャラを誰にも笑顔(やその他の様々な顔)を振りまく「偶像」的な存在として呈示するに留められることになり (ってそれが普通?)、そうしたキャラを謂わば原型的なものとして捉えるなら、対して(エロ同人でのごとく)性的にえがかれたその姿態などは、これを、水揚げされ(特段に)私的な領域へと持ち込まれたものだと解し得ようかとも思うわけです。
 まぁ言ってしまえば、隠されている、或いはそもそも「ない」からこそ(エロな)妄想を掻き立てられるっつー状況があるってことで、つまりパンツとは、隠されているがゆえにこそ具体的な様態についてそれが個々人 の妄想に委ねられている、という、そうした事態の謂わば(見えない)象徴なのではないかしら(といって、まぁ実際のところは、「隠されているからこそ」という事態ばかりではない、というのも本当なのでしょうが。ちらっとでも見えたら、そういう欲も惹起されやすいんだろうし)。パンツとアイドル、それぞれの役割についての類型化が強く為されているからこそ、そういう状況が尖鋭化してあるんでないの、というのもある。

   ……で、私的な領域っていうテキトーな言葉を使ったけど、これで言いたいのは、万人に笑顔を向け人々の希望を体現するアイドルとしての顔があるのに対 して、「パンツは誰もが見れるわけではない」って感じの含意、てゆーか願望? 欲望? が、そこにはあるであろうこと。つまりパンツ、スカートのなかというのは、性的な領域、私的な領域ということで、あらゆる人に笑顔を振りまくアイドルが有するものとしてはそれにそぐわず、誰のものでもない(原型的な)アイドルとして在るためには隠し切って貰わないと困るもん……なのかもしんないけど、WUGだとパンツを衆目に晒しちゃった、つまり、本当ならこちらから能 動的志向的に妄想してた、或いはできてた筈のその対象(やらなんやら)を、しかもアイドルというそれを見せないのが本来であろうキャラによって、先に曝け出されてしまったわけです。出端が挫かれるというか。けどまぁパンツを曝け出すことによって、パンツを隠す(?)ことが契機となって(下卑た)妄想に供されるばかり(?)のアイドルというものから、WUGの子等は脱したのだと、そんなふうにも言えるかもしれない、なーんてことを思ったりもするんですけどね(ただの思い付き)。もう最後これっきりのお披露目かもしれない、なんて場面での、パンツ見せるくらいなんてことない、っていう覚悟の表れがあれだったわけで、そういう彼女等の思いも含めつつの向こうから曝け出してきたパンツっつーので、それは普通の(?)パンツとしての位置からズラされてしまい、結局コチラ側としては、そのパンツという物体によって惹起された筈のいろんな何か感覚を、宙吊りにされてしまったんでしょう。『ストライクウィッチーズ』とか 『そらのおとしもの』に於けるそういうのに似たヴァリアントというか(……いや、似てないか)。